CFOメッセージ

当社は、新中期経営計画における重点戦略に注力し、持続的な収益性の向上を図ってまいります。収益性の高い案件の確保、規律ある価格マネジメント、生産性向上の加速、グローバル化によるシナジーの最大化、そして戦略的な事業ポートフォリオの最適化を通じて、より強固な財務基盤の実現と長期的な株主価値の創出をめざします。

財務戦略について

新中期経営計画「Next Innovation 2030」に沿って実行

当社は、資本および人的資本の配分において、引き続き長期的な戦略的成長を重視しています。投資判断は、各プロジェクトが資本コストを上回るリターンを確実に生み出すことを前提に、グローバルに実施しています。人財についても、事業の拡大や戦略的施策、新たな成長機会を支えるため、グループ全体で柔軟かつ機動的に配置しています。

また、当社は12年連続で増配を実現しており、過去10年間の配当は年平均約13%の成長率を達成しています。今後も、安定的かつ信頼性の高い配当の継続をめざし、配当性向は20~30%を目安として、株主還元の充実に取り組んでまいります。さらに、負債の削減およびEBITDA純有利子負債倍率の改善を通じて財務基盤を強化し、配当性向のさらなる向上を図っていきます。

経営成績について

売上収益の拡大よりも、利益率の向上と利益の質を重視

2027年3月期は、不確実性の高い事業環境が続く見込みですが、当社は引き続き規律ある事業運営に取り組んでまいります。為替の影響を除いた実質ベースで、当社グループの売上収益は前期比1.8%の増加、コア営業利益は2.8%の増加を見込んでいます。当社は、売上収益の成長を上回る利益成長の実現と利益率の拡大を図り、あわせて長期的な財務基盤の強化に取り組んでいきます。

財政状態について

財務基盤のさらなる強化に向けて

当社では、財務健全性の指標として、前中期経営計画まで調整後ネットD/Eレシオを採用してきました。2026年3月期には同指標が0.59倍となり、前中期経営計画で掲げた「2026年3月期に0.7倍以下」とする目標を達成しました。

新たな中期経営計画では、事業活動からのキャッシュ創出力を前提に負債水準を管理する観点から、EBITDA純有利子負債倍率を財務健全性の指標として採用します。「2030年3月期に1.5倍以下」という目標を設定し、引き続き強固な財務基盤の維持に取り組んでいきます。

キャッシュ・フローについて

事業から生み出す営業キャッシュ・フローを適切に配分

新中期経営計画では、4年間で累計1兆1,700億円の営業キャッシュ・フローを創出することを目標としています。この資金の約70%は、設備投資や買収を通じて事業に再投資し、残りの30%は負債の削減と配当の支払いに充てる予定です。

これまでに培ってきた規律ある事業運営、生産性向上施策、そして効率的な運転資本管理を基盤として、営業キャッシュ・フローを着実に創出してまいります。

資本効率について

資本効率のさらなる向上に向けて

当社では、資本効率性の指標としてROCE after Tax(税引き後使用資本利益率)を採用しています。ROCE after Tax は、2026年3月期に7.1%となり、前中期経営計画で掲げた「2026年3月期に6.0%超」とする目標を達成しました。資本効率性の改善については、未だその余地が十分にあると考えており、新たな中期経営計画においても、「2030年3月期に8.0%超」という目標を設定し、資本効率のさらなる向上に取り組んでまいります。

ROCEの一層の改善に向けては、「高い収益性と経済価値の創出が見込まれる堅実なプロジェクト案件の積み上げ」「機動的なM&Aの推進」「価格マネジメントの最適化」「生産性向上施策の拡充」「グローバル化の推進」といった取組みを進めています。また、イノベーティブな事業の拡大に向けて、その実現可能性が高いと判断される案件には積極的に取り組んでまいります。投資判断にあたっては、各国・地域において当社の資本コストを上回るハードルレートを設定し、各プロジェクトがこれを確実に達成し得るかを慎重に検証するとともに、定期的なレビューを通じて財務規律を維持してまいります。

今後も、収益性の高い事業機会を優先的に捉えるとともに、事業ポートフォリオの再編を進め、グループ全体の収益力向上に努めてまいります。また、戦略との整合性が低下した事業については、継続的な改善を図っていきます。 

株主還元について

安定的かつ信頼性の高い配当を継続

2026年3月期の配当額は前期比11円増の62円とさせていただき、配当性向は21.7%になる見込みです。過去10年間、当社は年平均成長率 約13%の増配を達成し、長期的な株主価値向上への取組みを強化しました。当社は、引き続き株主還元の強化に注力し、財務健全性の維持、負債削減、成長への投資、バランスの取れた資本配分を確保しながら、配当性向20~30%を目安に、着実な増配を継続していく予定です。

執行役員 財務・経理室長 兼 CFO
久保 宏一郎